「TOEICテスト 究極のゼミ Part 3&4」(早川幸治さん・ヒロ前田さん)のレビュー
こんにちは。
当ブログは地味な上に、脈絡のないブログですが、意外とたくさんの方がアクセスして下さいます。ありがとうございます。
今回は「究極のゼミ」シリーズから、「TOEICテスト 究極のゼミ Part 3 & 4」を紹介します。
パート3・4対策本としてはもっとも有名な部類に入る教材です。さてどんな内容なのか?以下のレビューをご覧ください。
※2016年からの新形式TOEIC対応リニューアル版が「TOEIC(R) L & R テスト 究極のゼミ Part 3 & 4」としてすでに出版されていますが、本記事は旧版についての記事になります。ご承知おきください。
まずはいつも通り、著者紹介から。
教材著者の紹介
■早川 幸治(はやかわ こうじ)さん 略歴
ニックネームはJay。SEから英会話講師に転身。現在はTOEIC対策専門講師として楽天・パナソニックほか全国の企業で研修を行っているほか、明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部で教える。TOEICテスト990点取得。TOEICを毎回受験し、傾向をおさえた効率的な対策法が好評。TOEIC対策著書多数。
毎日配信メルマガ「基礎単語メール」
■ヒロ前田(ひろ まえだ)さん 略歴
TOEIC受験力UPトレーナー。TOEIC界の巨匠と呼ばれる。
アルクおよび全国の企業・大学等でスコアアップ指導を行うほか、教員を対象とした「成果の出るTOEICの教え方」のセミナーも実施する。
TOEIC受験歴20年以上。最低20点、最高990点獲得経験あり。
TOEIC全国制覇(全都市でのTOEIC受験)を目指して受験し続けている
徹底したリサーチを行うための受験スタイルなどから「アナリスト型TOEIC講師」とも呼ばれる。
項目別正答率を算出できる世界初の教材「TOEICテスト 究極の模試600問」を製作。
メルマガ「ダッシュで奪取」
http://hiromaeda.info/merumaga.html
教材の概要
■教材の基本スペック
・TOEIC Part3、4の対策本。
・学習対象者は全レベル。
・講義+演習(例題、トレーニング、練習問題)+ミニ模試で構成される。
■教材本編テキスト
A5サイズ、383ページ。
◆ゼミ部分
本書はゼミ(講師と受講生の対話)形式で学習します。下の写真を見てのとおり、問題を解く以前の講義ボリュームが多く、「TOEIC問題とはどんなものか」という基本からしっかり学べます。
◆例題/トレーニング/練習問題
例題と練習問題はTOEIC問題形式ですが、「トレーニング」は色々な形式の(TOEIC問題ではない)問題が用意されています。下の写真は練習問題のページです。(当然、スクリプトは書かれていません。)
◆解答・解説
問題文のスクリプト、訳、正解、解説、語注が記載されています。それらに加え、下記の本書オリジナル項目も載っています。
「選択率」・・・それぞれの選択肢を選んだ人のパーセンテージ。(アルクが行った模擬試験での結果から算出)
「難易度」・・・問題の難易度を5段階のゲージで表示。
「ゼミ生中継」・・・問題に関する(学習者視点の)疑問、解き方のコツ、不正解の選択肢が誤りとなる理由など、ポイントを掘り下げた解説が書かれています。
下の写真が解答・解説ページです。1問1問、詳しい解説が書かれています。
■CD 2枚付属
CD1:69分 第2回ゼミ~第12回ゼミ
CD2:71分 第13回ゼミ~ミニ模試2
*CDが付属していますが、実はアルクのウェブサイトからmp3形式でも教材音声ファイルをダウンロード可能です。音声をスマホに入れたい人はCDから取り込んでmp3に変換するよりアルクサイトからダウンロードしたほうが楽でしょう。
■付録小冊子「TOEICエキスパート3人衆が教える!TOEICテスト 新形式問題 早わかりガイド」
B6サイズ、24ページ。
教材本編は2016年度からの新形式には対応していませんが、この「新形式問題早わかりガイド」が付属しており、新形式とはどんなものか?どこが変わるのか?について詳しく書かれています。しかもこの別冊子用のサンプル音声もダウンロードできるようです。
■【ダウンロード特典】会話・トークのみの音声
本書の「例題」「練習問題」「ミニ模試」に登場した会話・トークのみの音声(設問の読み上げ音声を除いたもの)です。各種トレーニング、耳慣らしなどに活用できます。
■【ダウンロード特典】Jay厳選!重要言い換え表現100
pdfファイル、4ページ。
教材本編に出てきた「言い換え」表現の復習用リストです。
「soccer」→「sports」のような抽象化した言い換えや、「buy」→「purchase」のように似た意味を異なる言葉で言い換えた表現が100個挙げられており、言い換えパターンを頭に入れるのに役立ちます。
■【ダウンロード特典】ゼミ・ミニ模試用マークシート
pdfファイル、3ページ(印刷して使用)。
繰り返し問題を解くのに使えます。「勘ボックス」(自信がない問題のときにチェックを入れておいて、復習のときに念入りに見直すのに使う)もついています。
教材に含まれるものは以上です。教材本編もコンテンツが多い上に付録やダウンロード特典があるため、全貌を把握するのが少し大変です。
学習内容の詳細はこれから見ていきます。
学習内容の詳細
本書は大きく分けてTOEIC Part 3対策、Part 4対策、ミニ模試という構成になっています。
それぞれがテーマを持った章に分かれているので、章ごとに内容を見ていきましょう。
はじめに
本書はゼミ形式になっており、ここで登場人物が紹介されています。主催者・ヒロ、講師・Jay、受講生マイ・ヤス・ダイが紹介されます。
また、パート3と4でスコアを挙げるために必要なスキルは何か?がサラッと書かれていますが、その詳細はこの後のゼミで学んでいくことになります。
第1回ゼミ Part 3の取り組み方
第1回から第7回まで、Part 3問題を扱います。が、第1回ゼミではまだ問題には手を出さず、以下のようなことを学びます。
・パート3問題の会話と設問のパターン
・設問の先読みの詳細な手順
・先読みの目標スピード
第2回ゼミ 概要に関する問題(場所・話題・職業)
第2回では、「どこで」「何について」「誰が」といった「概要に関する問題」についてです。
・「場所」等に関する設問の典型的な設問文の例
・最初のやりとりだけで概要が分かる問題について
・会話全体の内容をちゃんと聞き取らないと概要が分からない問題について
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:会話の一部を聞いて、「概要に関する問題」に答えるトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第3回ゼミ 詳細に関する問題①(依頼・提案・申し出)
ここからは、詳細に関する問題の講義になります。第3回では、「依頼・提案・申し出」に関する問題について以下のような項目を学びます。
・誰が答えのヒントを言うか、そしてどんな表現に注意して聞き取ればいいか
・「依頼・要求」「提案」「申し出」に関する設問と、会話で使われやすい「依頼・要求」「提案」「申し出」の表現
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:依頼・提案・申し出の内容を聞き取るトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第4回ゼミ 詳細に関する問題②(問題・懸念事項)
第4回ゼミでは、「問題・懸念事項に関する設問」を学びます。(ここで言う「問題」とはTOEICに出てくる人物が抱えているトラブル等の「問題」のことです。)
・「問題」「懸念事項」に関する設問文の例
・「問題が起こっていること」を伝える表現の例
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:音声を聞いて、その語句を抽象化するトレーニング、会話でどんな「問題」が述べられているか聞き取るトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第5回ゼミ 詳細に関する問題③(次の行動)
第5回ゼミでは、「次の行動」を問う問題について学びます。「次の行動」とは、「女性は次におそらく何をしますか」というような頻出の設問です。
・「次の行動」を表す設問の例
・「次の行動」に関する設問を解くために必要な、英語力以外の力とは何か
・初級者と中級者以上とで異なる、リスニングの仕方
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:会話の中で出てきた「次の行動」と選択肢の内容が合っているかどうかを答えるトレーニング、および会話の中で出てきた「次の行動」がどの人物の行動かを答えるトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第6回ゼミ 非定型の設問①(Where/When/How)
第6回ゼミでは、「非定型の設問」を扱います。「非定型」とは、これまでの章で出てきた定型パターン以外の問題という意味です。
・(前の章までで学んできた)定型パターンの設問をぜひ覚えておくべき理由
・非定型の設問のメリット
・非定型の設問の例
・非定型の設問から会話の展開を推測できる例
・マークシートを効率的に塗る方法
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:いろいろな形の(「いつ」「誰が」「何時に」「どうやって」などさまざまな内容を問う)非定型設問に答えるトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第7回ゼミ 非定型の設問②(What/Why)
Part 3対策としては最終回となる第7回では、前回に続き非定型の設問を扱いますが、ここでは「What」「Why」が問われる問題を集中的に学びます。
・What/Why問題がWhenやWhereの問題よりも難しい理由
・What/Why問題に解答するのに必要なこと
・選択肢を速く読む方法と、それを身につける練習方法
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:会話を聞いて内容を理解し、What/Why問題に答えるトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第8回ゼミ Part 4の取り組み方
第8回からはPart 4対策に入ります。この回では具体的な設問は扱わず、以下のようなポイントを頭に入れておくゼミになっています。
・Part 4の基本的な解答手順
・Part 4のさまざまなタイプのトーク全てに共通する特徴とは何か
・Part 4の設問の特徴
・Part 4で、トークのタイプ別に対策することのメリット
第9回ゼミ 電話メッセージ
第9回は、Part 4でよく出る「電話メッセージ」について学びます。
・電話メッセージの2タイプ「留守番電話」と「自動応答メッセージ」の特徴と、よくある表現、よくある電話内容
・設問から、トークが「電話メッセージ」であると特定できる例
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:会話を聞いて、話し手がどの業種に就いているかを特定するトレーニング、電話メッセージを聞いて、設問の答えに合うものに○、合わないものに×をつけるトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第10回ゼミ アナウンス(イベント・公共)
第10回ゼミは、「アナウンス」について学習します。「アナウンス」とは「店や交通機関でのアナウンス」、「イベントでのアナウンス」、「交通情報」、「天気予報」などを含みます。
・アナウンス問題で、冒頭をしっかりと聞き取るべき理由
・アナウンスの中で一番聞き取りやすいタイプと、その理由
・交通機関アナウンスでよく使われる表現
・流れがほぼ決まっているアナウンスの種類
・Part 3、Part 4問題を学習する際の効果的な方法
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:トーク音声を聞いてトークに関連する語句を選ぶトレーニング、アナウンス問題で「理由」を聞き取るトレーニング、および「数字」を聞き取るトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第11回ゼミ 広告・宣伝
第11回では、「広告」「宣伝」タイプの問題について学びます。
・「広告・宣伝」問題のトークの流れと、トークの冒頭文から広告主を推測できる例
・「店」以外で「宣伝」トークをする組織の例
・「広告・宣伝」によく出る設問の例
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:トーク音声を聞いてトークの内容を表す語句を選ぶトレーニング、トークの話し手の業種を推測するトレーニング、広告トークを聞いて設問に答えるトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第12回ゼミ スピーチ、ツアー、紹介
第12回では、「スピーチ」「ツアー」「紹介」問題について学びます。
・「ツアー」のトークの流れ
・「人物紹介」トークが話されるシチュエーションと、トーク冒頭でよく使われる表現
・トークの「目的」を問う問題に関する注意点
・「目的」以外によく設問で問われる事項
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:「スピーチ」問題のトーク音声を聞いて、「目的」「話し手が誰か」「聞き手は誰か/どこにいるか」を答えるトレーニング、スピーチ問題を聞いて設問の答えに合うものを全て選ぶトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第13回ゼミ ニュース
第13回は、「ニュース」問題について学習します。
・TOEICで出てくるニュースの内容
・ニュースの始まり方の定型例
・ニュース問題で聞き取るべき(=設問に出てくる)内容
・ニュース問題で頻出の設問
・例題 1セット(3問)
・トレーニング:トーク音声を聞いて、内容を言い換えた語句を選ぶトレーニング、ニュース問題を聞いて設問の答えに合うものを全て選ぶトレーニング、ニュース問題において「出来事」がもたらす「影響」を聞き取るトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第14回ゼミ 会議
第14回は「会議」を扱います。「会議」問題ではトーク内容も設問もさまざまなので難しい部分があります。
・「会議」トークでよく使われる表現
・「会議」トークで伝えられる内容の例
・「会議」トークの詳細内容に関する質問に答えるためのポイント
・トレーニング:トーク音声を聞いて、内容を言い換えた語句を選ぶトレーニング、「会議」問題を聞いて設問の答えに合うものを全て選ぶトレーニング。
・練習問題 3セット(9問)
第14回で、ゼミ部分が終了となります。
ミニ模試1・2、解答・解説
学習の仕上げとして、実際のTOEICのPart 3 & 4と同じ60問の模試(2回分)に挑戦します。
弱点問題タイプ診断
ミニ模試の解答結果から、「問題タイプ別正答数」を集計し、弱点問題タイプを診断します。
「問題タイプ別正答率」のパターン3例について学習アドバイスが解説されています。
教材内容は以上になります。
「TOEIC テスト 究極のゼミ Part3 & 4」の評価
本書のコンセプトは、「徹底的な問題分析」です。Part 3、4に出るトークのパターン毎にポイントを絞って学習することで効率よくスコアアップするのが狙いです。
本書では単なる問題パターン分析だけでなく、「先読み」と「情報処理能力」を駆使して問題を解きやすくする考え方を学びます。ポイントを理解し、要領を押さえて練習問題に取り組むことによりスコアアップできると期待できます。一方で、本書には、技能としてのリスニング力そのものを向上させる練習は含まれていません。ある程度のリスニング力がある学習者向けの、Part3&4問題を有利に解き進めるためのノウハウという位置付けです。
上にも書いたように本書のノウハウを習得してTOEIC受験に生かすには、ある程度以上のリスニング力(というか総合的な英語力)が必要になります。「スクリプトを見ても知らない単語だらけで意味がわからない」というレベルの人は、基礎の単語・文法から学習する必要があります。
良いところ/残念なところ
■残念なところ
・特典音声等をアルクのウェブサイトからダウンロードする際に、ユーザー登録をしてログインしなければならない。これが面倒。「特急」シリーズはその点スムーズで素晴らしい。
・本が分厚いために、手で押さえていないと自然と閉じてしまう。(パソコンでこの記事を書いているときに困った)
・(問題を繰り返し解くことでリスニング力が上がることを除けば)リスニング力そのものを上げるトレーニングメソッドは本書に書かれていないため、リスニング力を強化したいなら別教材を使う必要がある。
■良いところ
・Part3、4の問題、特徴が詳細に分析されており、その対策が解説されているため、要領よく(設問に関わるポイントを重点的に)学習を進められる。
・学習者が疑問を抱きがちな点への解説が行き届いている(対話形式なので理解しやすい)。
・「選択肢を速く読むための練習方法」「マークシートの効率的な塗り方」など、地味ながらスコアアップにつながる実践的ノウハウも解説されており、特にTOEIC学習歴が浅い人にとっては親切な配慮といえる。
・例題、練習問題、ミニ模試すべての問題に選択率・難易度が記載されているため、自分のスキルレベルや学習効果を詳細に確認できる。
向いている人・向いていない人
・本書はすべての人におすすめできますが、問題のトークを聞き取ること自体が困難なほどの超初級者は、本書を学習する前に基礎的な文法、単語、リスニングから学習したほうがいいでしょう。
総評
「TOEIC テスト 究極のゼミ Part3 & 4」の総合評価・・・評価A(優れている教材)
TOEICのリスニング問題でスコアアップしたいと思ったらやるべきことは大きく分けて二つあり、一つはリスニング技能を高めること、もう一つは問題分析と解答テクニックを極めることだと思います。
八島晶さんの「満点リスニング」は解答テクニックを紹介しつつもリスニング力を高めることのほうに重点を置いており、テッド寺倉さん他の「鬼の変速リスニング」はTOEIC問題を題材にしてリスニング力を磨く教材という内容でした。
そして本書は、問題の徹底分析と解答テクニックに特化した教材です。
本書は前半がパート3、後半がパート4、最後にミニ模試、という構成なので、ボリュームは多くて大変ですが一冊でパート3・4がどんなものか理解することができます。かなり細分化されたパターンまで網羅しているので、本書をじっくり読めば大半の問題に対応できそうです。
各章にも例題や練習問題があるのでトータルで言えばかなりの数の問題数が収録されており、繰り返し学習することで語彙力も自然と強化されます。
リスニング力を強化するためのメソッドは本書にないので、リスニング強化に重点を置いた教材も平行して取り組むと良いでしょう。実はPart 3、4のスクリプトを音読することがリスニング力アップに効果的と言われています。詳細なメソッドは「満点リスニング」や「鬼の変速リスニング」を参考にすると良いです。
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